星降る夜に


                            河村亨一


星が降っていた 無数の星が 夜空を流れては消えていく
消えていく星を見つめる 君を見ていた

横顔がとても綺麗で


澄んだ空気と少し前に降った
小雨に濡れた青草の匂いと君の香りに
戸惑いながら


何も言葉を口に出来ない―


自分を歯痒く思った


何か言葉を口にしなければ
君の心の中に入れない気がして
いまにも僕が消えてしまいそうで


夜空を逝く星たちは 二人をこの場に
引き合わせてくれたのだけど
身勝手な僕は その星たちに嫉妬した


僕は目を伏せ 足もとに転がる石を見つめ
彼らに自分を重ね心を通わせた


空ではいまでも星が降り注ぎ
隣りでは君がそれを見つめているのだろう


心が震えて静寂に耐えられなくなった頃
ふと顔を上げると君がとても心配そうな顔で
僕を見ていた


そして僕と目が合うと
君が優しく微笑んだ






                       2012年頃