幾億のなみだ
河村亨一
白い道を行く いまだ見ぬ瞳たちに憧れを抱いて
夜明けの城壁 まだ辿り着けず...
深海の瞳で歴史をずっと眺めていた そう
いつからかまるでそれは死神の様にみえてた
蒼い夜 もう帰ることの叶わないこの時代の流れから
橋を築き暗き大地のむこうへと
幾億のなみだを涸らし 幾億の傷跡残したとしても
あの場所には もう帰れないから
幾億の足跡残し 数多の悲しみを埋めてしまいましょう
あの瞳には もう逢えないのだから
少年があの日見た夢が 少女の硝子の胸をとおすまで
はかない記憶が まなざしを癒してくれる
広大な地の底を ただ這うように重ねた時間
いまより大気を纏いて 大地に踵をつけて
幾億のなみだを集め いくつもの想いを紡いでいこう
いま遥かな 天空を突き抜けて
いくつもの想いは雨となって この世界降りそそぐ
ただあの瞳へと心を濡らして
1998年頃